私たちが生きる現代は、インターネットやAIが生活の基盤となる「情報社会」です。この章では、社会の仕組みの変化、デジタル社会のルール(法律・マナー)、そして情報を活用して問題を解決する方法について学びます。
人類の歴史は、テクノロジーの進化とともに変わってきました。日本政府は現在、これからの社会を**Society 5.0(ソサエティ 5.0)**と定義しています。
Society 1.0 (狩猟社会): 狩りや採集で暮らす
Society 2.0 (農耕社会): 農作物を育てて定住する
Society 3.0 (工業社会): 産業革命により大量生産が可能に
Society 4.0 (情報社会): インターネット等の情報網が発達
Society 5.0 (新たな情報社会): サイバー空間(仮想)とフィジカル空間(現実)を高度に融合させた社会
IoT (Internet of Things): 「モノのインターネット」。家電や車などあらゆるモノがネットにつながる。
AI (人工知能): 人間のような学習・判断能力を持つプログラム。ビッグデータを解析する。
ビッグデータ: 人間では処理しきれないほどの膨大で多様なデータ群。
情報は便利なものですが、使い方を誤ると大きなリスクになります。
情報は「モノ」と違い、特殊な性質を持っています。
残存性: 他者に渡しても、自分の手元から無くならない(減らない)。
複製性: 容易に、かつ劣化せずにコピー(複製)できる。
伝播性: 短時間で広範囲に伝わる(拡散する)。
デジタル・ディバイド (情報格差): 情報を使いこなせる人とそうでない人の間に生まれる、社会的・経済的な格差。
フィルターバブル: 自分の好みの情報ばかりが表示され、偏った考えに閉じ込められてしまう現象。
フェイクニュース: 虚偽の情報やデマ。SNSでの拡散力(伝播性)により社会を混乱させる。
テクノ不安症 / 依存症: 常にネットに繋がっていないと不安になる、または使いすぎて生活に支障が出る状態。
デジタル空間でも、現実社会と同じように法律やルールが存在します。
人間の知的活動によって生み出されたものを守る権利です。大きく2つに分かれます。
| 権利の種類 | 内容 | 例 | 手続き |
| 著作権 | 文化的な創作物を保護する | 小説、音楽、絵画、プログラム | 不要 (作った時点で発生) |
| 産業財産権 | 産業の発展に役立つアイデア等を保護する | 特許権(発明)、意匠権(デザイン)、商標権(ロゴ) | 必要 (特許庁へ出願) |
注意点: 著作権には、著作者の人格を守る「著作者人格権」と、財産的な利益を守る「著作権(財産権)」があります。
個人情報: 氏名、生年月日など、特定の個人を識別できる情報のこと。マイナンバーや顔データなども含まれます。
プライバシー権: 私生活をみだりに公開されない権利。
肖像権: 許可なく自分の顔や姿を撮影・公表されない権利。
情報を安全に保つための対策です。以下の「CIA」を維持することが目標です。
機密性 (Confidentiality): 許可された人だけがアクセスできること(パスワードなど)。
完全性 (Integrity): データが改ざんや欠損していないこと。
可用性 (Availability): 必要な時にいつでも使えること(システムの安定稼働)。
「情報I」のゴールは、PCに詳しくなることではなく、**「情報技術を使って問題を解決できるようになること」**です。
問題解決は、思いつきで行うのではなく、以下のサイクルを回すことで効率的に行えます。
問題の発見・明確化: 「何が問題なのか?」「理想と現実のギャップは何か?」を定義する。
情報の収集: アンケート、文献調査、センサーデータなどで現状を知る。
情報の整理・分析: グラフ化したり、統計処理をして原因を探る。
解決策の立案・実行: 具体的なアイデアを出し、実行(またはプロトタイプ作成)する。
評価・改善: 結果を振り返り、うまくいかなければ1〜4に戻る。
トレードオフ: 解決策を選ぶ際、あちらを立てればこちらが立たず(例:画質を上げるとデータ容量が増える)という関係性のこと。これをどう調整するかが重要です。
理解度を確認してみましょう。
サイバー空間とフィジカル空間を融合させた、日本が目指す未来社会を何というか?
著作権は、役所への登録申請が必要か、不要か?
情報の3つの特性、「残存性」「複製性」、あと一つは?
自分の考えに近い情報ばかりが集まり、視野が狭くなる現象を何というか?
解答:
Society 5.0
不要(無方式主義)
伝播性
フィルターバブル