【情報I】第1章:情報社会と問題解決

 

私たちが生きる現代は、インターネットやAIが生活の基盤となる「情報社会」です。この章では、社会の仕組みの変化、デジタル社会のルール(法律・マナー)、そして情報を活用して問題を解決する方法について学びます。


1. 新しい社会「Society 5.0」

 

人類の歴史は、テクノロジーの進化とともに変わってきました。日本政府は現在、これからの社会を**Society 5.0(ソサエティ 5.0)**と定義しています。

社会の発展段階

 

  1. Society 1.0 (狩猟社会): 狩りや採集で暮らす

  2. Society 2.0 (農耕社会): 農作物を育てて定住する

  3. Society 3.0 (工業社会): 産業革命により大量生産が可能に

  4. Society 4.0 (情報社会): インターネット等の情報網が発達

  5. Society 5.0 (新たな情報社会): サイバー空間(仮想)とフィジカル空間(現実)を高度に融合させた社会

Society 5.0 を支える技術

 


2. 情報社会の「光」と「影」

 

情報は便利なものですが、使い方を誤ると大きなリスクになります。

情報の特性(3つの性質)

 

情報は「モノ」と違い、特殊な性質を持っています。

  1. 残存性: 他者に渡しても、自分の手元から無くならない(減らない)。

  2. 複製性: 容易に、かつ劣化せずにコピー(複製)できる。

  3. 伝播性: 短時間で広範囲に伝わる(拡散する)。

情報社会の影(リスク・問題点)

 


3. 情報社会の法とルール

 

デジタル空間でも、現実社会と同じように法律やルールが存在します。

(1) 知的財産権 (Intellectual Property)

 

人間の知的活動によって生み出されたものを守る権利です。大きく2つに分かれます。

権利の種類 内容 手続き
著作権 文化的な創作物を保護する 小説、音楽、絵画、プログラム 不要 (作った時点で発生)
産業財産権 産業の発展に役立つアイデア等を保護する 特許権(発明)、意匠権(デザイン)、商標権(ロゴ) 必要 (特許庁へ出願)

注意点: 著作権には、著作者の人格を守る「著作者人格権」と、財産的な利益を守る「著作権(財産権)」があります。

(2) 個人情報とプライバシー

 

(3) 情報セキュリティ

 

情報を安全に保つための対策です。以下の「CIA」を維持することが目標です。


4. 情報による問題解決

 

「情報I」のゴールは、PCに詳しくなることではなく、**「情報技術を使って問題を解決できるようになること」**です。

問題解決のプロセス

 

問題解決は、思いつきで行うのではなく、以下のサイクルを回すことで効率的に行えます。

  1. 問題の発見・明確化: 「何が問題なのか?」「理想と現実のギャップは何か?」を定義する。

  2. 情報の収集: アンケート、文献調査、センサーデータなどで現状を知る。

  3. 情報の整理・分析: グラフ化したり、統計処理をして原因を探る。

  4. 解決策の立案・実行: 具体的なアイデアを出し、実行(またはプロトタイプ作成)する。

  5. 評価・改善: 結果を振り返り、うまくいかなければ1〜4に戻る。

トレードオフ: 解決策を選ぶ際、あちらを立てればこちらが立たず(例:画質を上げるとデータ容量が増える)という関係性のこと。これをどう調整するかが重要です。


【第1章 復習問題】

 

理解度を確認してみましょう。

  1. サイバー空間とフィジカル空間を融合させた、日本が目指す未来社会を何というか?

  2. 著作権は、役所への登録申請が必要か、不要か?

  3. 情報の3つの特性、「残存性」「複製性」、あと一つは?

  4. 自分の考えに近い情報ばかりが集まり、視野が狭くなる現象を何というか?


解答:

  1. Society 5.0

  2. 不要(無方式主義)

  3. 伝播性

  4. フィルターバブル